IT契約・法務のメモ

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リスティング広告管理委託契約が錯誤により無効とされた事例

東京地判平成28年2月10日

【事案の概要】

下記リンク先事例と同一

いいねを5000件獲得する契約の委託料支払請求権が発生しているとされた事例

【判旨】

 「リスティング広告」は,原告が提出した証拠によっても,上記(1)アのように定義されているところ(甲18),リスティング契約に係る契約書に,「検索エンジンにおける検索結果表示両面に被告をスポンサーとして表示させる形での広告を実施する」と記載され,業務内容として「広告対象キーワードの調査,選定」が記載されているのは,上記定義と同様の広告形態を示しているものと理解できる。
 他方,同じ契約書中において,リスティング会社は原則として「facebook.inc」とする旨明記されているが,facebookページは検索エンジンではない以上,上記定義とは異なる態様の広告を示していると思われる。
 すなわち,同じ契約書中で,広告形態について矛盾した記載があるように捉えられ,契約書の文言のみでは,検索エンジンにおける検索結果表示画面に広告を表示させるものであるのか,facebookページに広告を掲載するものであるのか,明確に判別できないといえる。
 この点について,原告は,(原告の当時の従業員)が被告に提出した資料(甲42)にfacebook上の広告と「Yahoo!」や「Google」の広告との相違点が解説されていると主張する。しかしながら,仮にリスティング契約における「リスティング広告」が,「facebook広告」を意味していると理解しえたとしても,業務内容が「広告対象キーワードの調査,選定」とされている以上,その広告が会員のキーワード検索の結果に応じて表示されるものと誤信する可能性は多分にあるのであって,原告から口頭で補足説明しない限り,原告が想定している広告形態を理解することは困難である。
 そして,契約締結時に勧誘に当たった(原告の当時の従業員)が,リスティング契約における広告の形態に関し,具体的に,被告に対し,いかなる資料をもって,いかなる説明をしたかは,(原告の従業員、証人)が体験したところを証言するものではない。
 そうすると,契約書に「検索エンジンにおける検索結果表示画面に,被告をスポンサーとして表示する形での被告の広告」と記載され,業務内容として,「広告対象キーワードの調査,選定」と記載されているとおり誤信した旨の被告の供述(乙5)は排斥できず,広告形態がいかなるものであるかは,リスティング契約の本質的な要素であることからすると,そうした錯誤がなければ意思表示をしなかったであろうと考えられ,その錯誤は意思表示の要素に当たるというべきである。
 よって,リスティング契約は錯誤により無効であるから,被告に同契約に基づく委託料の支払義務はない。

本件は、リスティング広告管理委託契約の報酬請求をするWEB広告会社に対して、クライアントが、実際の広告は「facebook広告」であり、いわゆるリスティング広告ではないので、要素に錯誤があったとして錯誤無効、詐欺取消を主張した事例です。

リスティング広告は、検索エンジンで検索されたキーワードに関連した広告を検索結果画面に表示する広告です。

一方、本件で実際になされたfacebook広告は上記の意味でのリスティング広告ではありません。

本件では契約書上も「検索エンジンにおける検索結果表示両面に被告をスポンサーとして表示させる形での広告を実施する」と記載されており、業務内容も「広告対象キーワードの調査、選定」と定められていました。

そのような契約書の体裁や別途被告が原告が想定していた広告形態を理解していたとの証拠はないことから、被告のよる錯誤無効の主張が認められました。