IT契約・法務のメモ

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「後から値上げ」の宣伝文句と景品表示法-有料noteのケース

今有料noteが結構な勢いで売れていますね。有料noteの販売だけで生計を立てていけそうな人もチラホラいるようです。

いろんな人が有料noteを販売していますが、「後から値上げします」みたいな消費者心理を煽る宣伝も目立ちます。

その宣伝をみていて少し気になったのが景品表示法の有利誤認表示との関係です。今回は後から値上げの宣伝文句と景品表示法について書いてみたいと思います。

目次

景品表示法とは?

正式名称は不当景品類及び不当表示防止法といいます。

景品表示法は一般消費者の利益保護を目的として、商品やサービスの品質、内容、価格等を偽って表示すること、過大な景品類の提供を規制しています。

著名な法律事務所でも景品表示法違反で措置命令を受けるなど意外に見落としがちな法律です。ちなみに最近だとアマゾンの「参考価格」も措置命令を受けていました。*1

景品表示法の規制内容

不当表示の禁止

景品表示法は消費者が誤解するような虚偽や誇大な表示(不当表示)を禁止しています。

禁止されている不当表示には大きく分けて「優良誤認表示」「有利誤認表示」「その他誤認されるおそれのある表示」の3種類があり、今回取り上げる有利誤認表示は、次のように定義されています。

商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

長々と書かれていますが、要するに価格等の取引条件を著しく有利にみせかけるような表示のことです。

よくある例としては「今だけ半額」などと表示されているけれど常にその価格のような場合です。

有料note販売への適用

では、有料noteの販売にあたっては誰が景品表示法の規制対象となるのでしょうか。

noteの利用規約によれば、有料noteの販売はユーザーとクリエイターの直接取引であり、クリエイターが売主になるとされています。*2

景品表示法の規制対象となるのは、商品・役務を供給する事業者です。そのため個々のクリエイターが「事業者」といえる場合は、売主であるクリエイターが規制対象になると考えられます。

個々のクリエイターが事業者といえるかどうかは個別的に判断することになりますが、有料noteの販売で継続的に売上を上げている場合には事業者と判断されると構えていた方がよいでしょう。

将来の販売価格を用いた二重価格表示

では、どうも事業者と判断されそうだとなった場合、来月から1万円に値上げすると表示して、5000円の有料noteを販売することは景品表示法違反となるでしょうか。

このような二重価格表示について、消費者庁のガイドラインは「表示された将来の販売価格が十分な根拠のあるものでないとき(実際に販売することのない価格であるときや、ごく短期間のみ当該価格で販売するにすぎないときなど)には、一般消費者に販売価格が安いとの誤認を与え、不当表示に該当するおそれがある。将来の価格設定は、将来の不確定な需給状況等に応じて変動するものであることから、将来の価格として表示された価格で販売することが確かな場合(需給状況等が変化しても表示価格で販売することとしている場合など)以外において、将来の販売価格を用いた二重価格表示を行うことは、適切でないと考えられる。」としています。*3

ガイドラインによれば、値上げが確実でない場合に二重価格表示を行うことは景品表示法違反のリスクを負うことになります。

値上げが確実でない限り、後から値上げの宣伝文句は避けるのが望ましいといえるでしょう。

実際に表示どおり値上げするのであれば問題はありません。

違反したらどうなる?

不当表示をした違反事業者に対しては、措置命令や課徴金の納付が命じられる場合があります。

実際措置命令が出された件数はさほど多くなく、平成28年度で27件です。