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企業法務、経営、IT・ネットの法律問題についての雑記

SEO対策契約の錯誤無効の主張が認められなかった事例

東京地判平成27年2月25日

【事案の概要】

本件は,被告との間でWEBサイト開発業務委託契約及びSEOサービス契約を締結した原告が,①WEBサイト開発業務委託契約及びSEOサービス契約が動機の錯誤により無効であること又は詐欺による取消があったことを前提に不当利得返還請求として既払金200万円の返還を,②各契約を債務不履行を理由に解除したことを前提に原状回復請求として既払金200万円の返還を,③欺罔行為によりWEBサイト開発業務委託契約の代金名下に185万円を騙取されたことを前提に不法行為に基づく損害賠償請求として185万円の支払を,④報酬減額約定に基づく報酬減額がなされたことを前提にWEBサイト開発業務委託契約上の代金が全額減額されたとして,不当利得返還請求として既払金相当額185万円の返還を,⑤被告側にSEOサービス契約上の債務不履行がある以上は代金を受け取る権利もないことを前提として,不当利得返還請求として既払金相当額15万円の返還を求めた事案である。

本件で、原告が主張していた錯誤の内容は複数あります。

一つは、「原告の新たなWEBサイトの検索結果の表示における順位が実際には50位以下に低下することが続いたところ,原告はそのような認識は抱いていなかった」というものです。

この点について裁判所は、「検索結果の表示順位は,検索エンジンを抱えるグーグルやヤフー等が決定するもので,確実な順位向上策は知られておらず,SEO対策業者の努力の及ばない事情である検索順位決定の仕組みが変更されることもあり得る上,SEO対策の効果が現れるのに約1か月から半年要することもあるところ,原告の本件開発契約及び本件SEO契約締結時の代表者も種々の要因により順位が低下し得ることは認識していたというのであるから,この点について錯誤があったと認めることは困難である。」「原告の当時の代表者は,被告が3位以内に表示されるようにする旨を約束した旨証言するが,原告に提示された見積書に成果報酬を組み込んだ料金体系と,固定額の料金体系の双方が提示されているところ,原告は敢えて固定額の料金体系である日額固定プランを選択したというのであるから,採用できない。」として錯誤を否定しました。

他には、サービス提供会社のSEO対策の能力、WEBサイト開発契約におけるSEO対策上の有効性についても錯誤があったとの主張もなされましたが、全て認められていません。

検索順位はグーグル等の支配が及ぶ領域であり、業者によるSEO対策の結果が必ずしも出ないため、検索順位が上がらなかった場合には支払に関するトラブルが生じがちです。

クライアント側としては検索エンジンの性質を理解した上で、成果報酬型の報酬の検討をすることも必要です。

サービス提供側は、顧客に対して成果が確約できないことを十分に説明した上で、固定報酬型、成果報酬型、固定+成果報酬複合型等複数の報酬体系を用意し、顧客に選択してもらうことが有用と考えられます。