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不正競争防止法2条1項13号の不正競争が認められた事例

大阪地判平成29年3月21日

【事案の概要】

 本件は,「△△△」との名称の健康器具を販売している原告が,その開設するウェブサイトで原告の上記製品についてのコメント等を掲載している被告に対し,下記請求をした事案である。
                  記
①被告が,その開設するウェブサイト下のウェブページに掲載している記載内容が原告製品ひいては原告の信用を棄損するもので名誉棄損の不法行為を構成することを理由とする不法行為に基づく700万円(名誉棄損による無形損害500万円,営業上の逸失利益200万円)の損害賠償請求
②被告が,その開設するウェブサイトに原告の特定商品等表示と類似するドメイン名を使用していることが不正競争防止法2条1項13号(平成27年法律第54号による法改正前の12号。以下,単に「13号」という。)の不正競争に該当することを理由とする使用料相当額の50万円の損害賠償請求
③被告が,その開設するウェブサイト下のウェブページに原告の著作物を掲載していることが著作権(複製権,公衆送信権)侵害であることを理由とする利用料相当額の50万円の損害賠償請求
④原告が,被告を特定するためにインターネット業者に対して発信者情報開示請求訴訟の提起を余儀なくされたことによる弁護士費用相当額100万円の損害賠償請求
⑤原告が,本件訴訟の提起及び追行のために要した弁護士費用相当額100万円の損害賠償請求
⑥上記①ないし⑤の損害額合計1000万円に対する不法行為の後の日である平成28年8月4日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金請求

【判旨】

(1)前提事実記載のとおり,本件日本語ドメイン名は,原告の特定商品等表示と類似のドメイン名である。
(2)原告製品の購入を検討しようとする需要者がインターネットを利用する場合,原告製品名である「△△△」を検索ワードとして,グーグル等の検索エンジンを利用して検索するのが一般的と考えられるが,本件ウェブサイトは,本件日本語ドメイン名に「△△△」を含むものであるから,本件ウェブサイトは検索結果として上位になり,またそのドメイン名から目的とする検索サイトであると理解されるため,△△△という原告製品名を手掛かりとしてインターネット検索をした一般的な需要者は,必然的に本件ウェブサイトに誘導されるものと考えられる。
 そして,一旦,本件ウェブサイトにアクセスした場合,その需要者は,本件ウェブサイトが目的とした原告製品を販売商品として取り扱うサイトであるので,その内容に注目して閲覧することになるが,本件ウェブページの記載内容は,前記のとおり,一般的な商品取扱いサイトのように取扱商品の優秀性を謳うものではなく,むしろ原告製品が問題のある商品というものであり,それだけでなく,それを製造販売する原告にも問題があるようにいうものである。
 すなわち,本件ウェブサイトでは,原告製品に興味を持ち,その購入を検討しようとしてインターネットを利用してアクセスしてきた需要者に対し,本件ウェブページの随所において,原告製品の信用を棄損して需要者の購入意欲を損なわせるような内容の記載をしているのであり,また,その記載は,併せて製造者としての原告の信用を棄損するような内容のものである。
 これらのことからすると,本件ウェブサイト自体が,原告に損害を加える目的で開設されたサイトであるといわざるを得ないものというべきである。
(3)したがって,本件ウェブサイトの開設者である被告は,原告に損害を加える目的で,原告の特定商品等表示である原告製品名と類似の本件日本語ドメイン名を使用したものというべきであり,これは不正競争防止法2条1項13号の不正競争に該当する。

不正競争防止法2条1項13号は、「不正の利益を得る目的で、又は他人に損害を加える目的で、他人の特定商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章その他の商品又は役務を表示するものをいう。)と同一若しくは類似のドメイン名を使用する権利を取得し、若しくは保有し、又はそのドメイン名を使用する行為」を不正競争として規制しています。

本件では、「(原告の販売する商品名).com」(日本語ドメイン)を取得し、当該ドメインを使用し、原告の販売製品及び原告を誹謗する内容をウェブサイトを運営していた被告の行為が13号の不正競争と認定されました。

損害賠償としては、名誉毀損による損害が50万円、ドメイン使用料相当額が3万円、著作権侵害による利用許諾相当額が3万円、前訴の発信者情報開示請求訴訟の弁護士費用が4万円、本件訴訟の弁護士費用が5万円、それぞれ損害として認められました。