名古屋の弁護士のブログ

企業法務、経営、IT・ネットの法律問題についての雑記

契約書で甲・乙を間違えないようにする工夫

多くの契約書では、当事者が甲・乙といった形で表記されています。

契約書のチェックの際に以外と厄介なのは、この甲・乙が逆になっていないかのチェックです。多いものだと1つの契約書で100回くらい甲や乙が登場するので、時間もかかって大変です。

甲・乙が逆になっているミスが見受けられるのは、あるひな形を使ったときに、別のひな形から追加の条項を持ってきたような場合や、意図的に自社を甲(または乙)にしようとして、あるひな形の甲・乙を逆転させたような場合です。こういうケースではミスが発生しやすいので作成段階での注意が必要です。

なるべくミスを減らす方法としては、甲・乙をひとまず社名や人名に置き換えてみる方法が考えられます。これはワードの置換機能を使えば簡単です。0から契約書を作成する場合は、全条項を当事者名で作成した上で、後から置換機能で甲・乙に変換すればいいです。

甲・乙との表記は単調で、内容がおかしい場合でも違和感にも気づきにくいです。また、甲・乙の状態でチェックする際は、脳内で乙=A社という変換作業が工程として入ります。最初から当事者名であれば、おかしい場合の違和感も持ちやすくなりますし、脳内変換の工程を省略することができ、ミスが減ります。

次に、甲・乙という表記をしないという方法も考えられます。例えば、賃貸借契約なら貸主・借主、業務委託契約であれば委託者・受託者といった契約上の立場を端的に示す用語を使うことで、そのまま当事者名を使うのとほぼ同等のミス削減効果を期待できます。また、社内のひな形としての整備もしやすくなります。

こういった単調なチェックは法務パーソンからAIに置き換えられる可能性があるところですが、現状AIがチェックできるのはある条項が自社に有利か不利かといったところや甲・乙が重複していないかとったレベルでしょう。結局、契約書作成者の意図をくんだうえでの、スキルのある者による目視によるチェックは欠かせません。